本を読んでいくブログ(新)

読書記録。テーマは主に歴史、外国語学習、レシピ、手芸など。

『倭国の時代』岡田英弘 ちくま文庫 2009年

岡田英弘先生の著書は、1〜2冊、しか読んだことないのですが、その時の印象は「痛快!」。。。でした。

 

軽快なテンポで、これは創作、これは後から書き換えられている、これはなんとか。。。と史料そのものの分析が目からうろこ落ちるような感じでした。

 

一般向けの歴史の本レベルしか読んだことがないので、歴史学の方々が普段どういう論文を書かれているかとか、学会でどういう流れなのかとかも全くわかりません。この本が2009年に出版されたというのは後付けでわかりますが、その時、歴史業界(?)がどんな状態でどんなことが言われていたかとかもわかりません。

 

ただ、一般教養的な歴史の本を拾い読みしているような私が今頃、この岡田先生の本を読んで見た、というだけの感想です。

 

まだ読んでる途中ですが、ちょっと息切れがしてきたので、一旦読むのをやめようかと思っているのでここでひとまずの感想を書いておきます。

 

やっぱり、痛快!です。

 

魏志倭人伝にどうこう書いてある、じゃあその邪馬台国はどこなのか?と古代史の楽しみとでもいうようなことも、岡田先生はそもそも魏志倭人伝とはどういう資料なのかを説明され、ええ〜、そういうことならその内容、しかも(今の)日本あたりについて書かれたないようなど、マジに受け取ることではないと納得してしまいます。

 

邪馬台国にかぎらず、

困ったことに、われわれはどうも、太古の紫雲たなびく「大和朝廷」の詩的なイメージに弱いようで、二〇〇〇年代の現代でさえ、その実在をまるで疑う余地のないものと頭から決めてかかり、ただその系譜をあれこれいじくり回しては、やれ「葛城王朝」だ、やれ「三輪王朝」だ、やれ「イリヒコ王朝」だ、などと空想にふけって楽しむ人が多いのは、いったいどうしたわけだろうか。

(158ページ)

 

ちょっと、笑いが止まらないです。葛城王朝も三輪王朝もイリヒコ王朝も知りませんが、大和朝廷の実在を無知ゆえですが疑う余地もないものと頭から決めてかかっていた、のは確かなので。。。

 

岡田先生は「日本書紀」ですらどこからどこまでは創作で、どこそこは参考に値するとかも分析されてて、思わず「容赦ない。。。」とつぶやいてしまいそうです。

 

こういうところが歴史好きの楽しみどころなんじゃないの?というようなところを一刀両断で切り捨てていく感じ。。。

 

そういえば以前に岡田先生の著書を読んだ時も似たようなことを思って、今後は歴史についてこういう浮かれたイメージで考えているかもしれないことを自覚しよう、とか思ったはずなんですが、部分的にそう思っても歴史全体に対する私の姿勢が変わってないだけに、気がつくとまた「太古の紫雲たなびく『大和朝廷』」なイメージで考えてます。

 

歴史を学ぶために読む本、といえるところまでたどり着けてないです。

自分の思い込みに気づく本、とでもいいましょうか。それも、大和朝廷に対する思い込み、とか、日本古代史に対するイメージという以前に、ひょっとして「学校で習った」「教科書で読んだ」「人から教わった」時の自分の受け取り方そのものに付いてくる「思い込み」に気づく、と言ったレベルかもしれません。